2. 経済学の分析対象

経済学が扱う問題

一言でいえば経済学は、効率性を追求する学問である。
つまり、最良の結果を得る(何かの数値を最大にする)ためには、どのように行動する必要があるか?ということを終始考えている。

何かの数値、とは具体的には何だろうか。
すぐに思いつくのは、個人的な資産の総額だったり、企業の利潤だったり、はたまた一国のGDPといった、つまりは"オカネ"だろう。
どのようにしてオカネを稼ぐのか?という事は、人間にとってとても興味深い考察対象だからだ。

しかし、経済学では、そのような"オカネ"ばかりを分析の対象にする訳ではない
それが最も分かりやすいのが、ミクロ経済学の市場理論であり、ミクロの教科書の1ページ目に書いてある効用(utility)という概念である。

Example-1. 効用

効用とは、個人が財・サービスから得られる満足度の水準を意味する。
人が感じる満足度なのだから、普通に考えて数値で表せるはずがない。数値で表されなければ、個人間での満足度の比較だって難しいだろう。

しかし、実際にはそのようなものが経済学においては数量的に扱われている。(序数的効用、という概念を導入して上記の問題をクリアしている。)
つまり、どのようにオカネ儲けするか?という問題と同様に、どのようにして個人は自身の満足度を最大化するか?という問題も分析対象になっているのである。
手持ちのお金で、いかに効用を最大にするか?というテーマは、ミクロ経済学の初歩的にして典型的な問題である。

Example-2. 社会的余剰

また効用の他に、社会的余剰という概念もここで取り上げておきたい。

社会的余剰とは、これまたミクロ経済学の教科書の中盤あたりに取り上げられている概念で、定義するならば「ある市場における、生産・取引によって生み出された便益」といった所である。
つまり「財・サービスを生産し取引することで、どれだけ市場全体でメリットがあったか?」を表す数値であると考えれば良い。

この社会的余剰の概念は、経済学ではしばしば厚生の指標として用いられ、効用の時と同様に、限りある資源によって、いかに市場の社会的余剰を最大化するか?という問題が、大きなテーマとして扱われる。

実際に経済学では、ある市場が何らかの理由で非効率的な状態に陥っているために、社会的余剰が最大化されていないとき、どのように対処すれば良いのか?という所に、多くの研究を帰着・還元できる。

(ここでは"社会的"な厚生が問題とされている。つまり、個人的なオカネ儲けみたいな事は、逆に望まれないものとして扱われている。 経済学は"社会に資するため"の学問であり、"公共の利益"を追求する学問なのだ。)

まとめ

ここまで見れば分かるように、経済学の分析対象は、効用や社会的余剰のように最大にしたい何かの対象(よくペイオフなどと呼ばれるが)があれば、例えそれが資産やGDPでなくとも、分析対象たり得るのである。
そのため経済学の手法はとても応用範囲が広い。医療経済学や教育経済学など、「○○経済学」という言葉を目にするのはそのためでもある。

First Written: 2009.09.28
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